
「アメリカン・ドリーム」★★★☆☆
村上 龍 (著)
1985年講談社から出たエッセイ集。
経済についていまいち興味が出てこない、詳しくないから経済についての記述を読むのは苦痛だった。
関心を持てたならもっと楽しめただろうと思う。
他はおもしろかった。
本当に村上龍はサディストですね。
失敗に終わったと知っているけれど、映画「だいじょうぶ・マイフレンド」は観たいと思う。
私は、生命力そのものを表現したいと考えている。
国家とか土地とか血縁とか家族とか性とかモラルとか経済とか戦争とかを含んで、
さらにそれらを超えて、すべての歴史や現象を引き起こし、
モラリストや社会学者の基となっている生命力をテーマにしたいと常に考えている。
文学においては、生命力はスペクタクル—衝突を生み出すものとして扱われる。
生命力が、圧迫を受け、爆発して、矛盾や嘘を暴き、
リアルな問いを露にしていく。
言語はそのような作業に適している。
私には頭に描く理想のセックスライフがあった。
第一に手間がかからないこと、
つまり食事や映画やボウリングや公園での求愛が不要なこと、
第二に喋る必要がないこと、
第三に射精と同時に女は帰って朝は一人で目覚められること、
第四に毎晩違う女でしかも美人であること。
リオに行った時、売春婦達のあまりの美しさに、
自分の夢を試してみることにした。
娼婦だからすぐ契約できるしポルトガル語だから喋ることもできないし、
終わったら出てけと行けるし、すごい美人ばかりだったのだ。
六日目の朝に、極度の不安状態で目覚めてしまった。反省した。
やはりセックスにおいても言葉は必要なのだと思った。
いたわりや愛情のないセックスは心身を疲れさせるということに気付いた。
最初にSMと出会ったのは、幼稚園の頃で、私の隣家にオンリーが住んでいた。
オンリーというのはパンパンよりちょっと偉い娼婦で、
いわゆる将校専有の愛人みたいなもんだ。
その愛人と白人将校の変態的なセックスを私は五歳の頃、よく覗き見していた。
ひどいだろ?
「すべてはあっという間にファッションになってくんだよ」
つまり、人間の悪い癖だよ、
現象を自分の情報だけで判断してしまうんだ。
あのね、現象の中に意味を探しちゃうんだよ。
現象だけではなくてね、小説の中にも、絵の中にも、映画にも音楽にも演劇にも、
意味を見つけようとするのが近代人なんだから。
本当はそうではなかったんだけどね。
快感とか代償とか刺激とか鎮静とか目的に作られていて、
意味なんかないのに、意味を読み取ろうとするんだ。
間違ってる。
表現者はみな幼児だからね。
石につまずいて転んでも、悪いのは世界だと叫ぶことがよくある。
どこの国でもそうなのだが、宗教は、貧しい人々の、唯一の娯楽だったのだ。
熊は、頭が悪いために、それらを開発できないのではなく、
必要としないのだ。
熊は、「自分の生命」と「自分の種の保存」のためだけに生きている。
そこには、幸福も不幸もない、
「生きがい」を求めることもない、
シンプルで、美しい、生命体としての法則があるにすぎない。
出版社/著者からの内容紹介
佐世保でのGIとの出会いからエンタープライズ闘争、基地の町福生での生活と、絶えずアメリカと対峙してきた著者が、アメリカとは何か、
そしてそれと分ちがたく結びついている日本文化とは何かを鋭く問いかける。
「アメリカが世界だ」と言い切る著者が“父なるアメリカ”への思いを熱く綴ったエッセイ集。