
「希望の国のエクソダス」★★★★★
村上 龍 (著)
「2002年、一斉に不登校を始めた中学生がネットビジネスを展開し、遂には世界経済を覆した。」
この本は2年前に購入してからずっと本棚に眠っていた。
あまりにも大作過ぎて読む前から胸焼けを起こしていたのだ。
最近経済について話す機会が多いので今なら読めると思った。
内容はおもしろいのに知識が追いつかなくて、何度も心が折れそうになった。
専門用語を理解しきれていない感は否めない。
情報量がものすごい。
これは小説なのか。
過去にあったニュース、または予言書を読んでいるようだ。
村上龍はやっぱりすごいと思い知らされる。
ASUNAROが未来に出現するのを期待したい。
古本で購入したので、ところどころにメモ書きがある。
的を得ているメモ書き。
これをもとにした小説を書いてみたらとある人に言われた。
ここからはじまる別の物語。
おもしろいなと思った。
ディベートというのは、
言いたいことを言うだけではなくて、
お互いの考え方の違いを認めた上で、
妥協点があるかどうかを探るというものでしょう。
話し合いの形を、
ちゃんとしたディベートにするために、
暴力は必要だと最初から思っていました。
力関係が圧倒的に弱く正義がこちらにある場合に暴力は認められると
チェ・ゲバラが『ゲリラ教程』で言ってるんですけど、
その点においては彼は正しいと思います。
それに、
学校側が想像もつかないような事態を準備しようと思ったし。
教師たちが思考停止に陥るような方法というと、
ぼくらには暴力しかなかったっす
マスコミの世界にいらっしゃる関口さんに対して申し訳ないことを言いますが、
彼らがまとめたものは、
わたしの知っている大手の新聞記者の談話のまとめ方よりはるかに正確で、
わたしが言いたかったことを実にうまく編集していました。
彼らは、
コミュニケーションが自明ではなく、
わかり合えることによりわかり合えないことのほうがはるかに多いということを知っているんですね。
言葉の行き違いということにも敏感だし、
ひょっとしたら自分たちはこの人の言ったことのニュアンスを取り違えているのかも知れない、
という危機感もあるわけです。
マスコミの人間は、
自分が知っている情報の範囲内で、
インタビューをまとめようとします。
そのせいで往々にして活字になるとニュアンスの違うものになってしまうんです。
関口さん、
青臭いことを言うようですが、
強者というか、
生態系の中で既得権益を享受している種はもうそこで進化が止まるんですよ。
後藤はペルーの空気についてえんえんと語った。
関口さん、
ペルーは貧しいしリマのスラムは不潔だし軍隊は威張っているし教育水準は低いし
住むのは本当に大変だけど、
何て言うか、
あの空気なんですよ、空気。
乾いていて、
朝とか寒さがピンと張りつめていて、
青臭いことを言うようだけど
自分のからだと世界の境界がはっきりするような気がするんです。
自分がここにいて、
からだの輪郭を包むようにして世界がその周囲にあるって当たり前のことですけどね、
はっきりとしているんです。
日本にいるととても過ごしやすいです。
何となく暖かいし、
自分と世界の境界が何となくぼんやりとしていて、楽です。
十二歳のゲリラにライフルで撃たれることもない。
でもときどき自分が本当にここにいるのかどうかってことが
曖昧になってしまうことがあるんです。
自分のからだと、
外側の世界の境界がはっきりしない。
自分のからだが溶けてしまって
自分のからだを確認できないような感じがするときがあるんです。
外側というか、
自分のからだ以外のものと自分がどこかで接しているという実感がないと、
自分のことを確認できないんじゃないですかね。
おれは悲しい気分になっていた。
何か無駄な繰り返しが若い頃に必要だとか、
そういう風には決して思わない。
安心できるものに囲まれて暮らすほうが平凡だけど幸福なのだとも思わない。
ただ確かなことがあるような気がした。
それは、
無駄なことの繰り返しはおれたちを安心させるということで、
そのことが妙に悲しかったのだ。
「ちょっとですが、疲れたんです」
ポンちゃんはそう言った。
彼らはこの三年間無駄なことの繰り返しを拒否してきた。
彼らには無駄なことの繰り返しの痕跡がない。
「逆で、
普通の日本人が持っているメンタリティが欠如しているんじゃないかと思うようになりました。
それが何かうまく言えないんですが、
要するに、
上の人にペコペコして、下の人には威張る、
というようなメンタリティです。
そういう醜いメンタリティをどういうわけか北海道と沖縄の人は持たずに済んでいるんです」


出版社/著者からの内容紹介
2002年、一斉に不登校を始めた中学生がネットビジネスを展開し、遂には世界経済を覆した!
閉塞した現代日本を抉る超大型長篇